花ロマン
ふるさとの原風景「花野」の再現 [伊那毎日新聞]
花ろまん43究極の花ろまん・
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(2008/7/31掲載)
お盆が近づくと子どもたちは野原や山に盆花を取りにいった。黄色のオミナエシ、赤い実のような花を付けたワレモコウ、空色のキキョウ、マツムシソウ、真っ赤なコオニユリ、ピンクのナデシコと両手いっぱい抱えてきた。野には普通にさまざまな花が咲いていた。
草原の中には濃いオレンジ色をした「カキラン」もあり、折って、家に持ち帰ると、母は大変喜んで、仏壇に供えた。悲しいことがあると、野原で花を摘んで遊んだ。そんな風に少女時代を過ごした。原風景の中にはいつも、「花野」があった。
基盤整備が進み、田園風景から、どこでも見られた花たちが姿を消した。わずか高原に残った「花野」もシカに食べられ、見る影もない。1昨年春、飯島町千人塚の桜を見た時、「城ケ池」を巡って「花野」が広がれば、どんなにすてきだろうと思った。ここにはスケールの大きな天与の景観美があり、それぞれの植生にあった環境、日向、日陰、半日陰、こもれび、林地がある。「花ろまん」がスタートした時から、最終の到達点は「究極の花ろまん・ふるさとの原風景・花野の再現」と決めていた。
あれから2年、「千人塚公園に飯島町自生のササユリやオミナエシ、ヤナギランなど山野草を植えて花野を再現したい」「みんなで百ポットずつ種から育てれば、費用は掛らないのでは」。そんな声が少しずつ聞えてきた。その声に加担し、主体的にかかわりながら、経過を見守りたいと願っていたが:。こんなに早く、突然に「花ろまん」の終りが来るとは思わなかった。「花野」は本来は秋の季語だが「花いっぱいの野原」と解釈。今回は夢の「花野」の主役にしたい日本の原種ユリと、夏の「花野」を彩る花たちを特集し、終りとする。
長い間「花ろまん」をご愛読いただき、心よりお礼を申し上げます。願わくば、どこかの「花野」でお目に掛りたいものです(大口国江)
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